定期預金はどこに行った?
以前からわたしは、中小企業ではあまり経営分析は必要ないと言ってきました。
もちろんいまでも、その基本スタンスは変わっていません。
「それじゃ、お前の事務所では経営分析は一切しないのか?」ですって?
いいえとんでもないっ!、もちろんやりますよっ!
「なんだよそれ、おかしいじゃん?」って思いますよね?
やるのはやるんですけど、ちょっと違うんですよ。
流動比率や労働分配率など、使う指標は同じものですが、使うデータの質が違うのです。
同じ計算式で出たものでも、そのデータが違うと異なった数値がでてきます。
ん?データの質が違うってわかりにくいですか?
それじゃ、少し説明しましょうか。
例えば流動比率を計算するために決算書を見ますよね?
あなたの企業の決算書、定期預金はどこにありますか?
「えっ?銀行だけど?」なんて回答は期待してませんよっ!
あなたの企業の決算書を見て下さい。
さて、定期預金はどこに表示されていますか?
おそらく、8割以上の企業が流動資産の中、預貯金等に含まれているのではありませんか?
いかがですか?
ね、流動資産の中にあったでしょ?
って言うと、決まって「いや、この定期預金は1年満期だから流動資産でいいんだよ。」なんて回答が返ってくるんですよねぇ。
まぁったく、そんなだからちゃんとした経営分析が
出来ないんですよっ!
「えっ?何がおかしいんだ?」って思うでしょ?
これって、おかしいんですよっ!
わかんないでしょ?
それじゃ、ちゃんと聞いて下さいねっ!
そのまえに、1年基準(ワンイヤールール)ってご存じですか?
ここから簡単に説明しておきましょうね。
1年基準(ワンイヤールール)ってのは、1年以内に現金化されるものを流動資産とし、それ以外のものを固定資産とするという約束事の事です。
同様に、1年以内に支払期日が到来するものを流動負債、それ以外のものを固定負債とするんです。
これは決算書を作成するときの約束事ですから、「あぁ、そうなんだ」って感じで聞いて下さいね。
こうして見ると、1年満期の定期預金は確かに流動資産になります。
でもね、ここでちょっと考えてみて下さい。
あなたはなぜ1年満期にしているんですか?
・3年以上にしなければ、どうせ金利が低いから?
・万が一の時に解約しやすくするため?
・他の預金とは別にしておきたいから?
などなど、いろんな理由がありますね。
だからここでちゃんと考えてもらいたいんです。
自分の定期預金は1年以内に取り崩す予定なのかどうかをね。
こうなると、確かに1年満期の定期預金であってもその本質は固定資産だったりするんですよねぇ。
あれ?いま変な顔しませんでした?
「どうして預金が固定資産なんだ?」って顔してますよ。
ダメですよ、変な先入観持っちゃ。
預金も、満期を迎えて現金化されるのが1年を超える場合は立派な固定資産なんですっ!
間違えないで下さいねっ!!
このようなものが、実は他にもたくさ~んあるんですよ。
このあたりをきちんと整理してなければ、経営分析なんていくらやってもなんの意味もないんですっ。
明日あたり、あなたの企業の決算書をもう一度こういう視点で見直してみて下さい。
きっとまた別のものが見えてくることでしょう。
そして、それが本来の姿なんでしょうね。
2007年12月24日