損益計算書からはじめよう
決算書が読めるようになりたいっていう人はたくさんいます。
そしてその人たちは大きく二つに分かれます。
一つは投資のために決算書が読めるようになりたいグループ。
もう一つは経営のために決算書が読めるようになりたいグループです。
投資のために決算書が読めるようになるためには、ある一定の係数や経営分析について勉強すれば事足ります。
しかし経営のために決算書が読めるようになるには、それだけでは不十分なのです。
ここでもう一度考えてみてください。
あなたは経営において、何を最重要課題としてとらえているのでしょう?
利益の最大化を最重要課題ととらえている人、資金の流れを最重要課題としてとらえている人、または節税のために利益の最小化を最重要課題としている人と、いろんな人がいます。
そしてこれらの人ごとに、見るべき部分が変わってくるのです。
利益の最大化を最重要課題としている人にとっては、損益計算書の粗利・販管費などがチェックポイントとなるでしょう。
資金の流れを最重要課題としている人にとっては、貸借対照表の売掛金・買掛金、および資金繰り予定表(こちらの方が重要)がチェックポイントとなります。
節税目的の人にとっては、損益計算書の税引前当期利益・販管費がチェックポイントとなるのです。
このように中小企業においては、通常の経営をするにあたって貸借対照表が重要となるケースは稀だと言えます。
なぜならば、貸借対照表が重要となる場合は企業の安定性を見る場合が多いからです。
自分の企業の安定性を自分で判断できないはずはありませんよね?
経営者であれば、貸借対照表を見るよりも自分の感覚の方が正しかったりします。
先ほど投資のために・・・という話をしました。
実は投資目的で決算書を読む場合には、貸借対照表が非常に重要となるのです。
なぜならば、ここからは企業の将来性が占えるからなのです。
もちろん貸借対照表に興味を持つことは悪いことではありません。
むしろ良いことでしょう。
しかし、損益計算書も読めないうちに手を出すべきではありません。
実は、決算書苦手症候群の99%はこの落とし穴にはまっているのですっ!
損益計算書が理解できれば、そこから派生して貸借対照表が少しずつ理解できるようになってきます。
たとえば、売上高を正確に計上しようとすれば売掛金の理解が深まります。
同様に、売上総利益を正確にしようとすれば買掛金や在庫への理解が深まるのです。
さらに営業利益に興味を持てば『費用収益対応の原則』や『期間損益計算』が気になりだし、これが減価償却や経過勘定項目(前払費用・未収収益・未払費用・前受収益)に繋がるのです。
今は『なんだそりゃ?』って感じかもしれませんが、まずは徹底して損益計算書を理解しようと努めてみてください。
そして各勘定科目により正確性を求めてみましょう。
必ず『なぜ?』が出てくると思います。
そしてその『なぜ?』が貸借対照表に繋がっているのです。
『数字を見るとおなかが痛くなる社長のための決算書の読み方』でも書きましたが、貸借対照表と損益計算書は元は『試算表』と呼ばれる一つの書類なのです。
この二つは必ず繋がっていますので、片方を追求すれば自ずともう片方の理解も深まるようになっているのです。
まずは理解しやすい損益計算書からはじめてみましょう。
必ず貸借対照表の理解も深まるようになってきますから。
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2008年10月20日