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Vol.1 ヤフオクってホントに儲かるの?
みなさんはヤフオクってご存じですよね?
正しくは<ヤフーオークション>と呼ばれるもので、インターネット上のフリーマーケットのようなものです。
出品者が商品をヤフーオークションのページにアップすると、それを見た人が購入希望価格を入札します。
期限までに最も高額の入札をした人がその商品を落札できるというシステムです。
ヤフオクってたくさんの人が出品していますが、本当に儲かるんでしょうか?
もちろん中には不要品を出品している人もいますが、ほとんどが新品ですよね?
☆ちょっと想像してみてください☆
出品者であるあなたは、商品Aを出品しました。
あなたはこの商品Aを10,000円で購入しました。
これをオークションにかけたところ、最終的に11,000円で落札されました。
この場合の利益はいくらでしょう?
これはすぐわかりますよね?
<11,000円ー10,000円=1,000円>です。
上の算式には3つの数字が出ていますが、これを会計学では次のように呼びます。
●11,000円・・・・・売上高
●10,000円・・・・・売上原価(仕入高)
● 1,000円・・・・・売上総利益(粗利)
つまり<粗利=売上高ー売上原価(仕入高)>という関係が成り立ちますね。
それではもう少し複雑にしてみましょう。
☆ちょっと想像してみてください☆
出品者であるあなたは、商品Aを出品しました。
あなたはこの商品Aを10,000円で購入し、着払いで支払いました。
着払い手数料を700円支払いました。
これをオークションにかけたところ、最終的に11,000円で落札されました。
この場合の粗利はいくらでしょう?
変更部分を赤で表示してみました。
ここで気をつけてもらいたいのは粗利という部分です。
利益ではなく粗利としている部分に注目してください。
粗利というものは<売上高ー売上原価(仕入高)>でした。
いかがですか?
<11,000円ー10,000円=1,000円>でしょうか?
でしょうか?って書いているってことは違うってことですよね。
正解は
<11,000円ー(10,000円+700円)=300円>
です。
ここで問題なのは、上の算式の<700円>の取り扱いです。
結論から言うと、この700円は売上原価(仕入高)となるのです。
売上原価(仕入)じゃなくて経費だと思ったあなた、気をつけてくださいね!
この700円は商品Aを購入するために必要だったものなので、会計学的には商品の仕入代金(今回のオークションでは10,000円)と同じだと考えるのです。
これを会計学では<購入代価+付随費用=売上原価(仕入高)>と表現します。
このように同じ購入価格(10,000円)の商品を、同じ価格(11,000円)で落札されたとしても、付随費用がかかっているかどうかで利益が変わってきます。
このように、うっかりすると粗利が1,000円から300円に減ってしまいます。
もしこれがヤフオクではなくて、あなたがはじめて任されたプロジェクトだったとしたら・・・?
そして単位が円ではなくて万円だったとしたら・・・?
冷や汗ものですよねっ!
粗利とは、商品を販売することで稼げた大元の利益のことです。
つまりここがスタートで、ここからいろんな経費が差し引かれることになるのです。
でも、この話はまた後日ゆっくりとしましょう。
今回は商品仕入に伴ってかかった費用は仕入に含めるんだということを、覚えておいてくださいね。
ここまでは大丈夫ですか?
それじゃ、もう少し複雑にしてみますね。
☆ちょっと想像してみてください☆
あなたは、商品Aを10個出品しました。
あなたはこの商品Aを1個10,000円で10個購入しました。
これをオークションにかけたところ、最終的に1個11,000円で8個落札されました。
この場合の粗利はいくらでしょう?
これも変更部分を赤で表示してみました。
そろそろわからなくなってきた人もいるんじゃありませんか?
<11,000円×8個ー10,000円×10個=△20,000円>
(注:会計上マイナスは△で表現します)
ですか?
20,000円も損したんでしょうか?
いいえ、違いますっ!!
ここはみんな一度はつまずくところなんですね。
ここでのポイントは、<2個売れ残っている>という部分なんです。
売れ残っているということはどういうことですか?
そうです、また売ることが出来るってことですよね?
ってことは・・・?
今回のオークションでの利益には関係ないってことになりませんか?
「何となくわかるような気がするけど・・・??」ですって?
それじゃ、もう少し見てみましょう。
☆ちょっと想像してみてください☆
あなたは、商品Aを10個出品しました。
あなたはこの商品Aを1個10,000円で10個購入しました。
これをオークションにかけたところ、最終的に1個11,000円で8個落札されました。
次の日、残った2個をオークションにかけたところ、やはり1個11,000円で2個落札されました。
この場合の粗利は全部でいくらでしょう?
それでは順を追って見てみましょう。
まずは第1日目、8個落札された日の粗利はどうなるでしょう?
これは<11,000円×8個ー10,000円×8個=8,000円>となります。
わかりにくいようであれば、次のように考えることも出来ます。
11,000円ー10,000円=1,000円(1個あたりの粗利)
1,000円×8個(落札された個数)=8,000円
次に2日目です。
もうわかりますよね。
<11,000円×2個ー10,000円×2個=2,000円>
です。
つまり<8,000円(1日目の利益)+2,000円(2日目の利益)=10,000円>となります。
このように、粗利とは<売上高ー(売れた個数に直接対応する個数分の売上原価)>となるのです。
平たくいえば<売れ残ったものは、粗利の計算上は考慮しない>ということですね。
次回は<営業利益>について見ていくことにしましょう。
【キャリアアップの会計センス】
●粗利とは、商品を売って稼いだ大元の利益
●商品仕入に伴ってかかった費用は仕入に含める
●売れ残ったものは、粗利の計算上は考慮しない!
2009年2月 8日