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繰延資産と長期前払費用の違いとは?
以前、【繰延資産とは費用の塊である】という話をしました。
今回は、その繰延資産と非常に似た【長期前払費用】について書いてみようと思います。
結論から言うと、繰延資産も長期前払費用も費用の塊であることには違いはありません。
それじゃ何が違うんでしょうね?
実は、繰延資産とは会社法という法律に規定されているものなんです。
つまり法律で限定的に定められているものだという点が、繰延資産と長期前払費用の大きな違いなんです。
この繰延資産には次の5つがあります。
●創立費・・・設立登記までの費用
●開業費・・・設立登記から開業までの費用
●開発費・・・新市場の開発等に要した費用
●株式交付費・・・株式を発行するために要した費用
●社債発行費・・・社債を発行するために要した費用
『でも税理士さんが「店舗を借りるための敷金」は繰延資産だって言ってたけど?』
これが繰延資産をわからなくしている元凶なんですっ!
その理由を、今お話ししましょう。
実は、繰延資産には【会計上の繰延資産】と【税法上の繰延資産】があるんです。
このうち【会計上の繰延資産】が会社法上の繰延資産です。
つまり会計上は、この会社法上の繰延資産だけなんだと考えて下さい。
これに対し【税法上の繰延資産】とは、会計上の繰延資産と同様にその効果が長期にわたる事が想定されるものについて規定しています。
そのうちの一つが『店舗を借りるための敷金』なんですね。
これ以外には次のようなものがあります。
●プロスポーツ選手への契約一時金
●スキーゲレンデの整備費用
●水道など公共施設の負担金
これらに共通していることは『その支出の効果が長期にわたり、かつ、多額であるもの』となります。
会計的に見た場合、これらの費用は繰延資産には該当しませんので『繰延資産』の勘定科目で処理する事が出来ません。
そこで【長期前払費用】という勘定科目で処理されるんです。
そしてこの【長期前払費用】は、税法に定められている期間で均等に費用化していくことになります。
これが長期前払費用の正体です。
つまりは費用の塊ですから、資産の部に計上されているとはいえ資産価値などこれっぽっちもありません。
これも【繰延資産】と同じですね。
今回の記事は、少し専門的だったかもしれません。
しかし、この二つをきちんと区別して表示されている決算書とそうでない決算書を専門家が見たとしたら・・・
そしてその専門家が、銀行の融資責任者だったとしたら・・・
いかがですか?
あなたがその専門家だったとしたら、どちらに融資しようと考えますか?
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いよいよ3月14日に【世界一わかりやすい会計の本】が配本されます。
今までの会計本とは違い、会計学の基礎を構成している大原則について書いています。
本来であれば、大学の授業や税理士試験レベルの話なのですが、それを誰が読んでも
わかるように書いた、画期的な1冊に仕上がりました。
これさえ身につければ、会計センスがあなたのものになります。
さらには、税務署が税務調査に行くかどうかを決めるときのポイントや銀行の融資担当
者が一番はじめにすることなども・・・。
あと1月ほどで、皆さんのお手元にお届けすることが出来ます。
乞うご期待っ!
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2008年2月22日